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追憶編

303.追憶編

(背景)
 中3の体育祭の準備時期。あの頃のパインと俺は、クラスの前に一人で立って如何(いか)に集団を扇動(せんどう)できるかを競っていた。クラスを煽(あお)り立てれる言葉を用意して、朝か終礼の時に何分か時間をもらって、みんなに話をしていた。中2の時から半ば担任を押し退ける形で、俺はそんなことをしていた。でも、これがなかなか難しくって、みんなの前に立つと緊張で頭が真っ白になって、何を話しているのか毎回わからなくなっていたのを覚えている。当時は、冗談なんて言える奴ではなかったんだ。中2の時は賛同もあったけど、最初はやっぱり批判の声が多かった。でも、いいメンバーに支えられて、最後は俺の言ってることをみんな認めてくれたんだよな。それは俺に少しの自信と、大いなる過信を持たせていた。

日記書きまーす。

久しぶりに日記見てきました。

いやーパイン。いろいろ悩んでおるみたいですな~。

敵だから相談できない。ってのはちょっと淋しいです。

そうですな~、、、とりあえずアドバイスとして

例え、自分がやっている事がいったい何なのかと

パニックに陥っても絶対諦めるな!!

って事っすね。今のパインの心境は一年前の俺っすね。

かなり辛い事が多々あるかもしれません。

でも、パインだからあまり心配してない俺です。

本当に折れそうな時は敵味方関係無く、伝えてください。

さて、

この二ヶ月間忙しかったですわ~。

何が忙しかったか思い出せませんが。

多分思い出したくないんです。

そういえば、週末に校歌を任されました。

ウチの学校は、創立5年の学校です。

だから、校歌がありません。

そこで、学校が生徒に校歌を募集したところ、

何も集まらず、、、っという感じでした。

そこで立ち上がったのが3Bの担任クロさんです。

クロさんは生徒に、

「一語でもいいけん、紙に書いて持ってこい」っと、

いいまして、

生徒から集めた紙を使って校歌をつくりました。

それを見ていたウチの担任「餓え砂さん」が立ち上がり、

クロさんと同じ様な事をしようとしましたが、

餓え砂「君らから集めたのは良いが、

    期限が明日の土曜までやった。

    私一人じゃ無理なんで誰か手伝ってくれんか?」

っと言いやがりました。無論誰も手を挙げません。

俺も、実行委員で忙しいので手を挙げません。

すると、旗作りで忙しいはずのモモちゃん(男)が

手を挙げました。

だから、俺も仕方なく手を挙げました。

餓え砂さんは、「手伝ってくれんか?」とか言いながら

俺達に全部任した気になって早々と

「魔の巣窟職員室」へ帰って行きました。

仕方なしに、俺とモモちゃんは、

明日までの宿題ということで旗作り。。。

その日俺は早々と寝ました。

朝起きて青ざめました。

でも、暴風警報で学校休みになって良かったです。

そして、俺はその日一日頑張って校歌を作りあげました。

出来た感想としてはさすが国語偏差値36.6と思いました。

でも、音楽の先生にメルで送ると

「学校の風景よく表わしとるね~。良いと思うよ。」

なんて、御世辞を頂きました。泣きそうです。。

ま~でも、俺にしては上出来やなっと思います。

詩の構成としては、

小学校の校歌が七・五音でうまく出来ていたので、

それをマネして七・五音でやってみました。

「邂逅」って言葉知ってます?

「カイコウ」と読んだり「ワクラバ」と読んだりするそうです。

意味は「めぐりあい」

各地方から集まってくる。あの学校には持って来いかと

一生懸命に探してきました。

最後にはグループの華・天・輝も入れてみました。

七・五音で作ったので何時代の歌か知りませんが、

良ければどぞ♪

一、    日本文化を  心得り
      文武両道  我極み
      未来の地図を  描かんとす
      船長という  華とあれ

二、    夢を奏でる  風に乗り
      母校礎(いしずえ)  築きあげ
      ここに集えし  若人(わこうど)よ
      翼を広がば  天を知る

三、    十人十色  学舎に
      同じ時代に  邂逅よ
      明日への港  (母校)の
      試練を果たさば  光あり

ブーイングが今から聞こえます。

でも、これが採用されれば俺の名前が刻まれんのか?

ちょっと期待がふくらむ俺でした~。

さて、今週も忙しくなりそうです。

頑張っていきますわ~。

皆も頑張りぃ~~~。   

当時のコメント
ER:ちョぃ今度歌ってゃ
  でもまさかの採用ゃッたら永遠名前残るね!
パイン:バカちん!お前に相談するか!(なんてな
(回顧録)
 パインはこの時、批判をかなり受けていたことを思い出す。前に立って一生懸命にみんなの心を動かそうとするんだけれど、なかなか受け入れてもらえなかった。それは1年前の自分の状況と重なっていた。その時のことは結局詳しくは聞かなかったし、パインも話そうとはしなかった。「自分の力でやり遂げたい」という彼の強い思いがあったからだ。教師目線で、当時の俺たちがやっていたことを思い出すと、本当に恐ろしいことをしていたと思う。ガキがクラスを束ねようとしているのだから。でも、誰かの真似事をしたいとか、そういうことを思っていたのではない。俺もパインも今を一番大事に過ごしたかっただけだ。それを周りの奴らにも共有してもらいたかっただけだ。そういう気持ちが強かったことを覚えている。
 校歌か。辞書を調べまくって「邂逅」という字を見つけたことを覚えている。「黒歴史か?」と思ったが、いやなかなか上手く書いているじゃないか。自分が母校に持っていた誇りとはなんだったかを思い出すことができる。そしてこれからも、めぐり会っていく子ども達に伝えていきたい言葉なんだろう。「1.未来のリーダーになれ」「2.自分から動け、自分を変えろ」「3.友達を大事にな」というメッセージだ。母校に誇りを持てる人間なんてのは、この時代少ないのかもしれないが、俺は本当に当時の学校が好きで、「○○生としての自覚」というやつを常に意識していた。俺はあの学校に帰る日が来るのだろうか。